2015年7月31日金曜日

ワカメの消費量は韓国が世界一 :トコロテン捕逸あるいは発展


日本人ほど海藻を食べている民族はないと書きましたが、ことワカメに関しては韓国での消費量が日本の3倍にもなるそうです。妊婦用とか誕生日とか背後に民俗的な習慣があるようだ。
李善愛さん(宮崎市立大)の済州島海女の研究をみると、彼女らの活動域は韓国南部沿岸を中心に日本、樺太近くまで広がり、そのおもな仕事は海藻とり。海女がとるのはアワビだけと思っていたので驚いた記憶があります。
ということで、鶴橋に行ってみました。ここは韓国の食文化のグローバル化を支える先端地域。食堂でのランチの焼肉定食にはかならず「ワカメスープ」がつ き、食品店にはイワノリ、アオノリの佃煮、味付け海苔。のり巻きも売っていました。ただしキムチには使わないようです。昆布は専門店がいくつかありますが 日本的な感じ。
(小山 修三)

みんぱくでは8月27日から特別展『韓日食博―わかちあい・おもてなしのかたち』が開催されます。
http://www.minpaku.ac.jp/…/exhib…/special/20150827food/index
韓国の食の秘密を、日本と比較しながら、探ります。実際に香りや味の体験のできるコーナーやイベントがいっぱい。お楽しみに!

2015年7月30日木曜日

イメージの力 ― 国立民族学博物館コレクションに探る @郡山市立美術館


昨年、東京(国立新美術館)と大阪(みんぱく)でおこなわれた「イメージの力」展が巡回し、8月23日(日)まで福島県の郡山市立美術館で開催されているので行ってきました。
この美術館は市立ですが、夏目漱石の愛したターナーの作品を含む英国の水彩画のコレクションがあり、たいへん瀟洒で感じのいい美術館でした。ただ、会場が 小さいので六本木やみんぱくのように大掛かりなものはできないので、学芸員のセンスをいかしたものにつくりあげていました。いわゆる「美術」とはちがった 世界の民族のパワーが現れているとおもいました。

たまたま、来年の秋、香川県でやりたいというので、視察に来ていた香川県立ミュージアムの学芸員と話をしました。こうしてこの展覧会が各地で催されるといいですね。私の故郷のことなのでいろいろ相談に乗りたいと思います。

(小山 修三)

2015年7月29日水曜日

ヒジキ

 ヒジキには砒素が含まれてるので危険じゃないかという情報がありますが、専門家からつぎのようなコメントをいただきました。

「む かし、マグロには水銀が含まれているといって食べないと言い張るイタリア人にあったとき、水銀中毒になるほどトロが食いたいと思ったことがあります。程度の問題なんですね。

ヒジキには無機ヒ素が多く含まれているので、イギリスやカナダなどでは食べないように勧告がだされています。日本人の日常的な食生活では、問題となる量に はなりませんし、これまでヒジキによる健康被害の報告がありません。厚労省は、バランスのよい食生活を心がければ健康上のリスクが高まることはないとして います。

ひじきは「乾燥ヒジキ」で売られていて、水戻し、茹でて、調理を行いますが、その過程でヒ素の量が減少します。 ヒジキは伝統的な食材で、ひじきを上手に活用して、カルシウムや鉄の供給源としており、日本人の知恵といえます。」

(小山修三)

2015年7月27日月曜日

家にある海藻類 :トコロテン捕逸2


海藻類をどれくらい利用しているかと思って家の台所を探索しました。

ずいぶんあるんですね。奈良のスーパーでは生ものはワカメ、モズク、売り場面積では、コブ、ヒジキの多いのが目立ちました。

(小山 修三)

2015年7月25日土曜日

海藻食いの日本人 :トコロテンの捕逸


トコロテンについて書いたら予想外に反応が多かったのでおどろいた。「おやつ的なもの」としてノスタルジーもあって気軽に書いたのだが・・・。し かし、考えてみると日本人ほど海藻を利用する食文化は世界的にもめずらしいのではないだろうか。いま話題になっている和食にしても、そのメダマには 「昆布だし」があり、「スシをまくノリ」がある。ネットで調べるとアイルランドやスコットランドにもあるらしいが、現地のレストランで出あったこ とがない(こんどイシゲ先生にあったら聞いてみよう)。

日本人はいつから海藻を食べ始めたのだろうか?縄文人は環境からみても、何でも食べる(broad spectrum)という姿勢からみても海藻の利用は容易に想像できるのだが、確かな証拠が見つからない。明確になるのは、歴史時代になってから、万葉 集、古事記、日本書紀、風土記、そして木簡にも頻繁にあらわれる。『延喜式』には官の使用人の給食のおかずだったことが書かれている。
海藻はふつう、英語ではseaweed(海の雑草)と一括されるのに対し、日本ではコブ、ワカメ、テングサ、フノリ、ミルなどとじつにこまかく分類されて いる。それは肉とか麦などがひとことでかたずけられているのと比べると対照的である。調理法をみても、だし、煮付け、汁物、盛り合わせのツマ、寒天やトコ ロテンなど地方色豊かに、多様に料理されていることに驚くのである(詳しく書けば一冊の本になりそうだ)。

海藻は栄養学的には、ハラの足しにはならないが(いま、ダイエット食品として注目されているのは皮肉だが)、コメを主食にした日本人の食生活に不足がちなビタミンやミネラルにとんでいて、歴史的にみると絶妙ともいえる役割を果 たしていたと言えるそうだ。

(小山 修三)
坪井清足監修 奈良国立文化財研究所編『よみがえる平城京―天平の生活白書―』日本放送出版協会, 1980より

2015年7月23日木曜日

トコロテン


Wikipedia「ところてん」より
あまりに暑いので、ふと食べたくなったもの
水の中で泳いでいるのをストンとついたトコロテン
三杯酢とからしがいいな。
いま、どこでたべられますか?

(小山修三)

大阪あべの辻調理師専門学校編『料理上手の基礎知識』新潮文庫1984より