2015年8月11日火曜日

オトギリソウ:薬のミンゾク学 その2


弟切草をおいかけています。

この薬草には怖い説話がついている。秘薬の作り方を他人に漏らしてはいけないと言っていたのに、弟が漏らしたので、切り殺したというものである。漢字から の連想だろうが、それだけ効果のあることを示しているのかもしれない。ところが今は虫さされに塗る、にまでにおちぶれ?ている。

雑貨屋でも散髪屋でも郷土館でも話を持ちかけると必ず使っているという答えが返ってくる。主におばさんに聞くのだが若い子の反応もいい。それぞれの家で土 用の頃採って干し、焼酎漬けにするのが一般的である。しかし昔は、焼酎はそう簡単には手に入らなかったはずで、新しい作り方であろう。すり潰したり、噛ん だり、他の草と混ぜるなどもっと神秘的な方が、効果がありそうだ。

弟切草の利用は(今のところ)福島だけのことで、四国では聞いたことがないし、青森や関東もそうではないという気がする。そういった地域性の差をどう捉え るかも重要だろう。プラセボ効果も含め、病治療の知恵は、迷信ではなく貴重な文化遺産であるという視点から、今、民族学者は世界中で調査をはじめている。

(小山 修三)

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