2015年6月28日日曜日

オオカミ(捕逸その1)


イェローストーンのオオカミ(出典 Wikipedia)
イェローストーンのオオカミ再導入の記事についていくつかの質問がありました。できるだけ数値をあげながら捕逸しておきます。

オオカミはかつてアメリカ全土に棲息していましたが、植民地化されると農業・牧畜が主産業になったので害獣として駆逐されて20世紀に入る頃には数が激減 していきました。1920年代にはイェローストーン国立公園とその近辺でもほとんど捕獲・殺戮の記録がなくなり絶滅種とみなされるようになりました。


しかし、1940年代になると、これで生態系のバランスが崩れた、再導入が必要だと言う声が、熱心な自然保護主義者たちからあがり、調査と検討が始められ ました。反対論も強かったのですが、イェローストーン国立公園では、9000km2=四国の約半分ちかい広大な地に人がほとんど住んでないという好条件も あって、1995年に再導入に踏み切ります。1995~97年にかけてカナダから連れてきた41頭のオオカミが放たれたのです。

図1
現在(2013)はそれが95頭に増え、10の群れになって、ほぼ、全域に住んでいます(図1)。群れにはナワバリがあり、広さは300~500km2。 餌は90%がヘラジカ、他にオオシカ、バイソン、シカもたべます。今のところ心配された人畜に対する害はなく、ジステンパーや狂犬病などの発症も見られず 一安心、むしろ観光の強力な魅力(よほどラッキーじゃないと出会わないのに)として欠かせないものになってきています。

イェローストンは普通もっと大きな「グレーターイェロストーン」地域(国有林など人口の少ないところ)としてとらえられており、そこでは約400頭、北 ロッキー山脈では1600頭まで増えていると推測されています。しかしそこにいるマウンテンライオン1万、クマ(ブラックベア)10万などと比べるとまだ 少ないといえるでしょう。なおオオカミはアリゾナ州のグランドキャニオンにもいるそうです。

(小山修三)


図1 出典 US Fish & Wildlife Service
http://www.fws.gov/…/figures/FINAL_Figure_3_GYA_03-10-10.pdf


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