2015年6月27日土曜日

アメリカ鉄道の旅


かつてアメリカはイギリスと並ぶ鉄道大国だった。人や物資の輸送は、初めは馬だったが1830年に始まったとされる鉄道は急速な発達を遂げ、19世紀末には全米のネットワークがほぼ完成し全盛期を迎えている。

ところが、第二次大戦後は飛行機と車(道路)に取って代わられ劣勢になり、廃線があいつだ(しかし、それは旅客面だけで、物資の輸送としては依然として大きな役割をはたしている)。
それでも、車に関しては石油価の高騰や交通事情そして環境への影響などから車への過剰な依存が反省されて、都市部や中距離輸送についても、例えばサンフランシスコ~ロスアンジェルス間の「新幹線」建設が真剣に検討されているという。

長距離の旅についても絶望的というわけではない。それは、なによりも、アメリカ人の心には歴史に根ざした鉄道へのノスタルジアがあるからだと思う(じっさい、各地に鉄道博物館がある)。
アムトラックは1971年に、全国網として政府の肩入れでできたのだが、オイルショックなどもあって順調には伸びなかった。しかし、もともと寝台、食堂車などの基本設備は整っており、ゆったりしているので最近は持ち直しの兆候がみられるという。

汽車に乗ってオークランドからフレズノまで行った。約4時間の旅。JRの正確無比な運行ぶりとくらべアムトラックはのんびりしたものだ。途中の駅 で、「予定より5分早く着いたので止まります。足をストレッチしたい方は外 でどうぞ。タバコを吸いたい人は20フィーと離れて吸ってください」というアナウンスがあった(タバコにかんして好意的な声をきいたのはここだけだっ た)。

将来はもっとサービス面を充実させて、ゆったり、のんびりした大陸陸横断の鉄チャン用の旅が出来る日が来るかもしれないと感じた。


(小山修三)

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