今年の夏は暑いですねー。 冷房で冷えすぎ、外に出ると暑さにやられる。冷房のなかったむかしは、食べ物がいたみやすいので腹を壊しやすく大変でした。腹痛、下痢、便秘など、医者にかかるほどでもない愁訴で頼りになるのはやはりクスリでしょう。
薬草を調べていると、効用として断然多いのは腹こわしと風邪です。薬草は主として漢方の世界、2000年ちかく前にまとめられた『神農本草経』が日本に紹介されて国の医療の原典となるのは、律令制をはじめた時からです。出雲風土記や延喜式(典薬寮)には、そこに書かれた薬草がつぶさに記載されています。
日本の薬草には古くから使われていたものがあります。センブリ、ゲンノショウコ、ドクダミなどは漢方薬としては認められていないようです(日本薬局方には登録されています)。
もう一つ、違いを言えば漢方は数種の素材を混ぜて方剤とするのに対し、民間薬は一種のみの使用が基本になっていることでしょう。
むかし石毛先生に聞いた話ですが、シンガポールでパーティによばれたとき、ナポレオンをリポビタンでわってガバガバのんでる、と。わたしはそれを聞いてこれは食のバランスを大切にする「漢方の思想」であるとおもったものです。
飲みすぎも腹具合の悪くなる原因です。高山ミュージアムに月一で通ってた頃、酒も肴もうまいのでつい飲みすぎで腹をやられました。原因は地元にあると強弁して、薬屋さんを探すと、木曽でつくられた「御岳百草丸」をみつけ、買って飲んだらすぐ直りました(よかったよかった、シンプルなつくりの体で)。その成分を見ると、ゲンノショウコ、センブリ、と(漢方の)オウバク、ビャクジュツ、コウボクでした。
私は民間薬は縄文時代から使われ続けていると考えています。実益を捨てることなくアイデンティティーも守るという、生活の知恵は「えらい」と思います。
(小山修三)
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