地方創生に興味がある。その動きが活発になってきた。たくさんのイベントが催され、Uターン、地方移住などの動きも出はじめている。一億総活躍など政府の
音頭取りに乗ってともいえるが、それよりもぼやぼやしているとまわりに誰もいなくなると気がついたのだろう。最近、参加して大変印象深かったイベントにつ
いて感想を述べてみたい。
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チョコレートは酒かすを利用したもの |
山口県萩市の山間にある小さな集落が集中豪雨に見舞われた。幸い死傷者はでなかったが再建が危ぶまれるほどの壊滅的な被害を受けた。その集落に一軒の酒造所があった。よほどいい酒だったのだろう、「あの酒をも一度のみたい」という有志が酒蔵の再興を応援し始めた。
おもしろいのは彼らが「地産地消」の理念を掲げたことだ。完全無農薬栽培によって野性たっぷりのコメ(山田錦)をつかい、電力はソーラーでまかなう。今、
私たちが食べている農産物や肉、魚介類は輸入もの、日本のものでも農薬をつかい正体不明のハイブリッド種もあり、電力については原発からという動きが強
い。つまり、私たちの生活はなんとなく薄気味悪い影がつきまとっている。もちろん原理主義的にすべてを拒否してはやっていけないのだが、せめてここではそ
んな不安のない生活を実現してみようと彼らは考えたらしい。それを実現するにはカネも時間もかかるが、それでもユートピアへの夢に向かって一歩ふみだすと
いう贅沢を楽しみたいと考えているようにみえる。
あの災害から3年、活動が実を結んで、会員にあたるくらいの量の酒を絞ることができたという。絞りたての酒を味わう会がひらかれ、おにぎり、小魚、果物など自然食品をつかった食事が出た。質素なものだが地域のプライドで味付けされていて文句は言えない。
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酒蔵の見学 |
シンポジウムには環境、民族、哲学、料理の専門家が加わってハイブロウにして喧々囂々、私たちがモデルにすべきは中国か北欧か、日本の教育はこれでいいの
かなどが論じられた(主催者はこれをまとめたいといっていたが大変だろう)。それでも、この手の会によくあるドグマティックな議論におちいらなかったの
は、「楽しみながら生きる喜びを」という基本思考が生きていて、爽やかな後味になった。若い人たちが多かったのも心強かった。それにしてもサケの力はすご
いとつくづく思った。
(小山修三)