
アメリカの日本料理店でセットメニューを頼むと、まず生ぬるいみそ汁がでてくる。それを飲まなければ次がでてこない。それが、私にはしっくりこなかった。
今のわたしたちの食べ方は、ヌタ、もやし炒め、アジフライなどが一度に出てくるのだが、これが西欧ではただしい配膳法なのだ、と言われるので仕方がない。
ここに清少納言さんを連れて行ったら、これは労働者の食べ方だ、「いとあやしけれ」と怒るにちがいない。(*注1)彼女の食べ方は(私と同じく)全品を並べる配膳だったからである(多分)。
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この絵はWikipedia”清少納言”の項より |
かように食文化とは材料や料理法だけでなく、食べ方までふくめてそれぞれの地域によって異なる、「総合的な体系」なのである。オーストラリアでアボリジニ
の村に住んでいたころ、獲ったカササギガンを、羽根をむしり、にこ毛を炎で焼き、身を裂いて分解して食べるという、実に簡単とおもった
キャンプ食も彼らなりの食べ方のルールがあることを知って、あとで深く恥じ入った経験がある。日本の食文化を民族学の立場から書いた
石毛さんの本の書評
(*注2)を書こうと読んでいて、そんなことを思い出した。
(小山 修三)
*注1:枕草子の有名な項だが古い流布本「能因本」にしかあらわれない
*注2:http://senrinomori.blogspot.jp/2016/02/20153456.html参照
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