2015年10月10日土曜日

琳派、ゴッホ、浮世絵


五輪エンブレムがパクリだと脅されて撤回されたが、私は未だ作家がなぜあのように唯々諾々と引き下がったのがよくわからない。そんなことで一人悩んでいた ら、10/10から京都国立博物館で琳派展が行われることを知った。メダマは宗達、光琳、抱一の風神雷神屏風である。解説に、琳派とは実際に存在した集団 ではなく、先人の仕事を慕う画家たちが模写に当たったのだといわれている。たしかに、今日のように簡単にコピペが出来る時代では なかったので、模写は正確にいかない、しかしその誤差が新しい表現を生み、新しい感覚があらわれる。だから私たちは光琳はもちろん、抱一にも感銘 を受けるのである。もう一つ挙げれば浮世絵を模写したゴッホの作品がある(模写の例は枚挙に暇ないのだが)。芸術の世界では人々は模写は常識で、それを繰 り返してきたのである。

そう考えるといわゆる途上国では「海賊版」は普通のことである。市場には電気製品、衣類、ビデオ、CD、アイフォンまで安価な偽ものが山と積まれている。 ベトナムに行った時、バイクの理想はホンダ、だから安い中国製の車に、エ ンブレムをはじめ部品までつけかえて(見掛けだけは)ホンダにしようとしていた。 企業としての利益だけを考えれば困ったことだが、そんなことをする若者の眼はいつかくるホンモノの世界を感じ、楽しんでいるのだとおもった。学ぶ=まね る=まねぶ=学ぶことによってこの社会は進歩してきたといえるのである。
 

(小山 修三)


写真1、2:ゴッホと広重(Wikipediaより)


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%8C%E5%B7%9D%E5%BA%83%E9%87%8D#/media/File:Hiroshige_Van_Gogh_1.JPG

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%8C%E5%B7%9D%E5%BA%83%E9%87%8D#/media/File:Hiroshige_Van_Gogh_2.JPG




写真3:10月10日より開催されている京都国立博物館の「琳派誕生400年記念 琳派 京(みやこ)を彩る」のちらしより

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