2013年12月24日火曜日

ちっこい栗 :ベトナム旅行記(その3)


ホアビン省のムオン族の市場でアルミボウルに盛った種子をみた。赤米?とおもって取り上げたらなんとクリだった。1粒は大きくとも5mmくらい。クリは外皮、渋皮があってやっかいなものだ。どうやって食べると聞いても言葉が通じないのでラチがあかない。ベトナムのフィールドワーカーとし て活躍中の樫永さんに調べてみてね、といって帰ってきた。


 「ハノイの市場でちっこいクリを見つけました。ベトナム中北部山地のゲアン...省からシェン クワン県(ラオス)にかけてのムオン族、タイ族の地域からきたもので、蒸したり茹でたりしてむいて食べるそうです」というメールが先日届いた。食 べ方としてはごく普通だがそのための手間暇を惜しまないのだ。


クリは縄文時代の主食料の1つなので、遺跡から発掘したものから各地の野性種までいろいろみたがこんな小さいのは初めてだった。縄文食の特徴は ブロード・スペクトラム、つまりなんでも食べる基本姿勢がある。同じことをベトナムでもつよく感じた。それは狩猟採集や焼畑といった(現代から見 れば)原始的な生業を営む人たちの生きかただった。

今回の旅行でもたくさんの市場を訪れたが、並べられた食材の種類が多く、中にはウワーこんなも のまで?との声をよくきいた。現代人の食品はコメ、コムギ、トウモロコシ、ウシ、ブタなどの大量生産できる品に集中しつつある。きれい、早い、 便利なことは確実なのだが、本当にそれが豊かさなのかどうか。
ぼくはそれでもいいのだけど。


(小山修三)

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