2013年12月26日木曜日

北ベトナム旅行と照葉樹林帯(2)


友の会会員の遠藤和雄さんのベトナム旅行感想記、第2回です。
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高原の街道を辿って次の地点へ移動するのですが照葉樹林帯を見ると言うよりそれを開拓した土地を見たという感じです。

高度が高いので紫外線が強かったです。開拓前の土地に何故照葉樹林帯が生成したのか? この紫外線が原因だと思いました。紫外線は生物に活性酸素を生成させます。それは細胞組織を破壊するので生物は活性酸素を除去する物質を生成するか、紫外線防御の組織を表面に生成します。


高原植物ではそれが照り葉なのでしょう。表面にクチクラ組織を作り紫外線を防御します。この照り葉の落葉が重要だと思っています。照り葉の落葉は生物による分解がしにくい物質を多く含んでいます。通常有機物は分解しやすい部分は多くの微生物により分解され、その微生物の餌となります。分解しずらい芳香族環を多く含んだ有機物は最終的には担子菌類(キノコ、カビ、酵母の仲間)により分解され腐植質(フミン酸、フルボ酸の集合体)となります。この腐植質は構造のなかに多くの官能基を含み地中の不溶の金属類、+塩類と結びつきます。(キレート化)担子菌類はこれを餌としているわけですが、この腐植質の層が重要です。



落葉樹では葉が薄いので腐植質の形成量は照葉樹より少なく、針葉樹は極端に少ないです。腐植質の量から見ると照葉樹は土地の富養化には有利に働いていると思います。例えば焼き畑では表面をやきますが、地上1m位は温度は800度Cまで上がりますが、地中は昇温もせず、地表の昇温も殆どありません。焼き畑では照葉樹が溜め込んだ栄養分がそのまま残るということです。焼き畑を放棄して再度木が生えますが、富養化が早い照葉樹林帯は焼畑には有利と考えます。

一方水田を考えると、照葉樹林帯からしみ出した水には腐植質の更に分解した低分子化した物(低分子のフミン酸、フルボ酸)が溶解してます。これには塩類が豊富に含まれるのです。このように考えると照葉樹林帯での農業は他の地帯より生産性は大きいのだと思います。たとえ他の地域で栽培化された物でも生産性の良い照葉樹林帯で広がって行ったのではないでしょうか? 

生産性の面から水利が良いところでは水田、背景に樹林を形成出来ない所が焼き畑となったのだと思います。水田を作るにしても水利、水捌けの点で照葉樹林帯の山際は低湿地より有利であったのではないでしょうか。それが棚田を作る背景と思います。この土地では自然の恵みで焼き畑で少人数で農業が成り立つので情報のない古代は手間の掛かる水田は成り立たなかったのではないか? 


この様に考えると水稲の栽培化は陸稲の水田化ではなく野生の米が自生している低湿地で採取と並行して起こり、根腐れの起きにくい管理された傾斜地に移行したのではないでしょうか? それぞれの土地条件が稲の品種の分化を促したのでしょう。(つづく)

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